雨の影響で

クラッチの効きが悪くなった。
朝の出勤時。
唐突だった。


クラッチレバーを握ると、クラッチを切ることは出来る。
で、放すのだけれど、クラッチが入りにくい。
入ったり、入らなかったり、半クラ状態になったり。
最初のうちは、何回かニギニギとすれば仕方なくといった風情でクラッチが入っていたのだけれど、だんだんと半クラばっかりになってきた。
青信号でのスタート時に、クラッチが入らなくてスタートできないので周りに迷惑をかけてしまう。
仕方なく、壊れやすくなるのを承知でクラッチを切らずにギアチェンジを繰り返して出社した。


帰宅時、僕は駐輪場から出ようとするまですっかりそのことを忘れてた。
とりあえず今日は何とか帰ろうと思って誤魔化しながら走っていたけれど、結局、クラッチが入らなくなって走れなくなった。
これには、本気で困った。
走れないし、引き返せないし、お金もないし、すぐに駆けつけてくれるような頼れる人も思いつかない。
ついでに、なんとかできそうな工具も持ってない。


八方塞を感じながら、とりあえず明るいところまで押していってクラッチを見てみる。
クラッチレバーは指先で押し出せば元に戻るので、問題ない。
クラッチワイヤは、外してみたがまったく問題なかった。
クラッチを戻すバネを疑ってみたけれど、反発力はあった。十分かどうかは疑わしいけれど…。
ということは、すくなくともカバーで覆われたエンジンの内部になる。
クラッチカバー内部でサビがでて動きが渋くなっているだけなら、まだ救われるのだけれど…
開けて様子をみるための工具は一切ない。
でも、クラッチを手で押してやると戻ることから、どうやら致命的な故障ではなさそう。


ここまで分かれば、あとはクラッチを強制的に戻してやるバネを強くすればいいことに気づく。
紐か何かで、足を使ってクラッチを下げる方法くらいしか思いつかなかった。
手持ちのアイテムといえば…


・普通のスーツ一式
・雨合羽
・カギの束
・通勤で使うバッグ


これくらいしか思いつかなかった。
実際には車載工具があったのだけれど、どのみちエンジンを開けられるものはなかった。


紐みたいなものがあれば…と思って考えてたら、ふと閃いた。
紐はないけど、バッグの中にインシュロックタイ(結束バンドとかタイラップとか言われてるもの)が数本あるのを思い出した。
長さや強度は十分だろう。
熱には弱いけど…家に帰るまで持てばヨシ。
今のところ、これしか希望がないし(^_^;
ということで早速エンジン側のクラッチホルダに通して、輪をつくった。
輪の中に足を突っ込んで、クラッチの戻りを確かめてみる。
インシュロックタイが、ちょうどいい感じの伸びとなってクラッチを戻すことに成功した。
これ、めっちゃ嬉しかった。
リアブレーキが使えなくなったけど、スピードを出さないようにして普通に帰宅できた。


早速クラッチカバー(ケースではない)を開けてみた。
そのカバーに、結露した水分がかなり付いていた。
こりゃダメだって思って、CRCを滅茶苦茶かけてみた。
クラッチ、普通に戻るようになるどころか、凄く軽くなってやんの(^_^;


でも、グリスをつけないと、またすぐに動きが渋くなるのが目に見えてる。
僕は少し、経験値を得た気分だ。