商業利用って

ふらっと見つけたこんなサイト。


Microsoftの「情報公開」にオープンソース・コミュニティから失望の声
http://www.computerworld.jp/news/trd/99151.html


プロトコルAPIのドキュメントが公開される製品


プロトコルAPIのドキュメントが公開され、「非商業的」な目的に限りオープンソース開発者に無料で公開されると書いてある。


「非商業的」な目的って、どういう意味?


よくファイルサーバに利用される Samba の開発チームであれば公開してもらえるんだろう。
そうするとSambaで実装されている ActiveDirectory も、独自解析した結果で実装したものより信頼性が高くなるんだけど。
これは面白そう。
開発チームは非商用利用目的だし、問題ないはず。


では、商業利用の場合とは?

これらのプロトコルの実装を非商業的な目的で使用、あるいは配布する行為について、Microsoft側は特許侵害で提訴することはないと述べている。ただし、企業がMicrosoftの特許技術を商業ソフトウェア製品で使用する場合は、Microsoftからライセンスを取得する必要がある。


Active Directory を利用してディレクトリ環境を作るソフトを売ろうとした場合なら、確実にライセンスが必要だろう。


では、営利団体である RedHat社 が Samba のソースに手を加えようとしたときは、どうなる?
RedHat社は飽くまでもOSのサポートを売っていて、RedHat Linux 自体の対価は取っていないという建前がある。


でも RedHat という商標を使って Linux カーネルと周辺ソフトを CD/DVD でサポート契約先に納品している。
たとえメディアの代金だとしても、RedHat Enterprise Linux は商業ソフトウェア製品として認められるんじゃなかろうか?
そうすると、そのソフトウェア製品に含まれる Samba は、商業利用目的の製品?


商業目的という言葉の定義があいまいなんだ。


ちょっと話が逸れるけど、以前、Softether *1というフリーソフトがあった。
これ、会社での利用方法を紹介してた。
でもライセンス的には商業利用禁止だった。
それまでは、会社が利用することそのものを "商用" と言っていたので、利用者からライセンス条件がおかしいというクレームがあったくらい。
で、この場合の"商用"とは、"商品として Softether を売る"ことだという釈明があった。


本題にもどる。
「これらのプロトコルの実装を商業的な目的で使用、あるいは配布する行為について、Microsoft側が特許侵害で提訴することはある」と読む。
RedHat社が、サポート業務という商業的な目的でプロトコルの実装を使用した場合は?


言い直す。
Red Hat Enterprise LinuxMicrosoftプロトコルを利用した場合は?


同梱されているソフトはそれぞれ非商業的なソフトウェアだとしても、それを集めてサポート業務を行う場合のライセンスがよく解からない。
僕には、ライバルOS会社を蹴落としにかかっているようにも見えるね。
実際、オープンソース・プロジェクトに協力しながらLinuxに対抗していきたいと考えているとの論評*2もある。
RedHat社が言うような「Office Open XMLのISO(国際標準化機構)承認会議のために戦略的にタイミングを見計らって行われたもの」であることも否定しないけど。
それ以前にBallmerさんが、米国司法省(DOJ)と欧州委員会(EC)による反トラスト法訴訟が最大の要因だったと認めている(^_^;

*1:Softether は現在 PacketiX VPN という名前で販売されている。

*2:情報ソース:http://www.computerworld.jp/news/trd/99051.html